「Connecting the Falklands」は、Square UKにより作成され主導されているプロジェクトです。クレジットカード決済を受け付けるテクノロジーにより、辺境にあるフォークランド諸島(アルゼンチン沿岸から約950マイル)の販売業者をつなぐことが目的でした。Mastercardの協力により、Squareは率先してこれらの販売店をつなぎデジタル決済を受け付けられるようにしました。これは多くの店にとって初めての試みであり、これまでは現金払い(外貨であることも多かった)しか受け付けていなかったのです。島には銀行が1行しかないため、金銭的な潤いを得るうえで大きな足かせとなっていました。
本プロジェクトを記念し記録するため、SquareはJane Stockdaleをリーダーとする写真動画チームを派遣して、島の加盟店にインタビューを行い、彼らの生活やビジネスについて学び、フォークランド諸島を体験してきました。英国空軍の飛行機で、30時間以上かけてフォークランド諸島へと飛んだのです。
この旅から紡がれた美しいドキュメンタリーをお見せするため、エディトリアルスタイルのデジタルな体験を作成して、広大な自然や辺境にある立地から全ビジネスオーナーが共有する毎日の課題まで、フォークランド諸島とは何であるかをサイト訪問者にお伝えするタスクを担当いたしました。
フォークランド諸島に行ったことはありませんでしたが、Googleマップを頼りにたくさんの通りをひたすら「歩き」ました。フォークランド諸島の首都(そして唯一の都会)であるスタンリーのいろいろな建築物が混在する独特な街並みについて一生懸命メモを取りました。歴史的なジョージアン様式の建物や、20世紀半ばに建設された漁村など。多くの建物、とりわけ聖マリア教会やクライストチャーチ大聖堂で目にしたさまざなタイプのアーチ型の窓から強いインスピレーションを得ましたので、窓のモチーフをデザインに取り入れることにしました。この街を知っている人へのご挨拶として、また遠く離れていても窓でつながれるというコンセプチュアルな意匠としてです。この窓を覗くことで、別の土地の内情さらには別の生き方を知ることができるのです。
遠く離れていてもつながれるというコンセプチュアルな意匠として窓を採用しました。
本プロジェクトの目標は、Squareの製品というよりはフォークランド諸島の美と快活さをハイライトすることでしたので、すぐにはSquareだと認識できない書体を選べる自由を感じましたが、それでもブランドの体系内でイメージに一致するようにしました。ほとんどのディスプレイタイプで、弊社のセリフフォントであるCambonのライトカットを使用しました。島で目にした、特にこの「フォークランドヘリコプターサービス」のかわいいマップで見られる、看板のレタリングが思い起こされました。
本プロジェクトで撮影した写真と動画は肩肘張らないナチュラルなスタイルでありながら、本質的にドキュメンタリーとなっています。個人的には、エディトリアルデザインの主体となるのは写真の編集だと思っています。エディトリアルプロジェクトでは通常、写真が多数あってそこから物語を紡ぐことができます。
写真を選び順序を決めていく過程で、伝えようとするストーリーを読み手に提示する道筋ができあがっていきます。{: .pull-quote }
また編集は、ストーリーと関連性が薄そうなディテールや物品の写真をあえて見せながら、プロジェクトで示したい世界観を細かにスケッチする効果を狙うという、自信と権限を発揮する作業でもあります。
本サイトの最初のセクションでは、島の紹介と、最初のフィルム「Connecting the Falklands」の撮影で訪れる前のCOVID-19に対する反応を扱っています。ここで選んだ写真は性質がさまざま(航空写真もあります)ですので、島をマクロ的な観点でとらえていただけると思います。ページが進むにつれ、写真がだんだん具体的になって島のことを学べるようになっています。ページの中ほどになると、窓のモチーフの中に小さいカルーセル表示の写真群が見られます。これをクリックするとモーダルウィンドウが開きます。特定の加盟店の詳しい説明が記されており、ビジネスオーナーの生活を垣間見たり、彼らのクリエイティブさ、プロセス、創意工夫などを、厳選した写真を通して知ることができます。
フォークランド諸島は、美と自然にあふれた、回復力の高い素晴らしい場所です。フォークランド諸島の加盟店の強さと決意のストーリーを、世界中にお伝えできることを光栄に思っています。