,

専門用語とその不満

専門用語—私たちはそれを嫌うのが大好きですが、それなしでは書けないこともあります。

コピーライターが集まるSlackチャンネルで最も嫌いな業界用語の投票を行ったとしたら、「leverage(利用する)」「utilize(活用する)」、「evergreen(不朽)」、「align(合わせる)」、「learnings(所見)」などの単語や、頭字語であるいくつかのアルファベット文字列がさかんに挙がるのではないでしょうか。

業界用語はその他のツールと同様、巧みに使う場合に役に立ちます。狭い意味では、医療、法律、金融などの特定の分野の専門用語を意味します。専門知識を持つ人々が、互いにその分野の複雑な内容をやり取りする方法です。

それが本来の目的なのですが多くの非公式な利用法があり、中でも最も強力なものが排斥です。インサイダーのみが理解できる用語を使用する環境では、その他全員を閉め出しているのです。排斥が目的であるかないかに関わらず、結果は同じことです。

インサイダーのみが理解できる用語を使用する環境では、その他全員を閉め出しているのです。

Squareでは、経済力のエンパワメントを目的としています。金融システムに縁遠かった人々へと、同システムと技術的なアクセスを開くため尽力しています。Squareは、多くの小規模ビジネスにとって不可能ではないが処理が困難であるケースにおいて、クレジットカードを受け付けられる機能を皆さまに提供するというアイディアからスタートしました。このプロセスは、それを説明する言語も含め、非常にシンプルで透明であるべきだと思っています。

そのため業界用語は弊社の目的に反します。しかしSquareは金融サービスとテクノロジーのはざまに位置しており、どちらの業界もわかりにくい業界用語ランキングでは常にトップクラスです。これらの業界へのアクセスを真に開くため、業界用語を理解するためのアクセスも広げていく必要があるのです。

だからこそ、教育が経済力のエンパワメントの主要部を占めています。BOPIS、BORIS、およびCOGSは確かに見るからに業界用語ですが、あらゆる規模の小売業者はこれらの意味を知っておく必要があります。そこでTown Squareブログの記事で、ビジネスプランの書き方からQRコードやその使い方まで、事業の運営に関するさまざまなトピックスを扱っています。

ただしマーケティング目的のコピーでは、説明のための文字数があまりないのが常です。業界用語を避けるようにと、弊社のスタイルガイドには書いてあります。その通りで、多くの場合それが何かを伝えるよりシンプルな方法です。しかし業界用語とみなされているものが、任意コンセプトの正しい(または唯一の)用語であり最良の表現方法であるというケースも時にはあります。業界用語を避けるべきコピーライターはどうしたらいいのでしょうか?

おおまかなやり方は、弊社の言語をユーザーに合わせてカスタマイズすることです。あらゆるビジネスが支払いを受け付ける必要があるように、Squareのメインユーザーは非常に多岐にわたります。このユーザー向けに書くときの弊社の言語は、できる限りオープンにして誰にでも理解できるようにしたいと思っています。たとえばレストランやソフトウェアデベロッパーなどより特定なユーザーを対象とする場合は、より特定な言語を使用可能です。なぜなら彼らの業界とニーズを理解していますよ、と伝えたいからです。

コピーで業界用語どう扱うべきか、いくつか例を挙げてみましょう。

EMVの意味を説明する

EMV、チップカード、およびライアビリティシフトといった用語は2010初頭に使われ始めましたが、ほとんどの人々にはなじみがない言葉でした。しかしクレジットカードを受け付ける事業にとっては、これらを理解しておくことが非常に重要でした。EMV(Europay、Mastercard、Visa)は頭字語の1つですが、スペルアウトしても説明にならないので役に立ちません。そこで弊社は、いくつものTown Squareの記事で分かりやすく説明し教えることにしました。またかわいいアニメが登場するビデオなども利用して、あらゆる業界用語を平易な言葉にかみ砕いて解説しています。

戦略を引き立てる味付け

Square レストランの発売時に、弊社はレストラン業界を理解していること、および弊社ソフトウェアは信頼のおける事業運営ソリューションであることを伝える必要がありました。実質上、業界用語を知っていますとアピールすることが必要であったため、発売キャンペーンにレストラン業界用語を何度も登場させることとなりました。

オムニなんとか?

「オムニチャネル」はどうでしょう。業界用語でしょうか?正にそうなのですが、意味が通じないわけではありません。クリエイティブ系の概略や社内での話し合いによく出てきますが、マーケティングコピーでは使わないようにしています。なぜなら、単に「オンラインおよび対面で販売する」、「より多くの方法で販売する」、「あらゆるショッピング環境で販売する」と表現したほうが良いからです。(この用語を知ってはいても意味がよく分からないという小売業者は、Town Squareでこのトピックに関する詳細な記事をご覧いただけます。)

信用貸しを明快に

Square販売店向けにビジネス貸付を受けるための道しるべを示しているSquare キャピタルのコピーライターは、社内用語や業界用語を平易な言葉に変換するスキルを熟知しています。信用貸しにおいては、不明瞭な業界用語が長く醜悪な歴史を刻んできました。そこでSquare キャピタルのコピーライターは特に、使用する言葉ができる限り明快で透明であるよう気を付けています。社内では主力製品を「フレックスローン」、返済率を「ホールドレート」と呼んでおり私たちの間では意味は通じるのですが、コピーでは誰にでも意味が通じる「ビジネス貸付」および「返済率」という言葉を使用しています。

Squareでは決済手数料と同様に、コピーも明快で透明なものにすべく努力しております。しかし同時に、特定のグループが対象である場合にはその業界を知っているということを言葉でアピールしたいがため、業界用語の使用は避けられない場合もあります。経済力のエンパワメントの目的を貫くことを常に念頭に置くことで、いつおよびどこで業界用語を使うのが適切なのかを見定めることができます。

本記事は教育を目的としており、法務上、雇用上、税務上の助言に相当するものではありません。ご自身の事業に関する特定の助言が必要な場合は、専門家にお問い合わせください。