The Future Is Built in Chicagoでは、シカゴの黒人ビジネスオーナーたちがコニュニティの柱として活躍する姿をご紹介します。掲示板やバス停に掲げられるポスターの数々に、彼らの深い思いが現れており、何が可能であるか、コミュニティや自分の人生をどう築くことができるかを、気づかせてくれます。「クリエーターシリーズ」の第二弾として、生粋のシカゴっ子である写真家のAkilah Townsendにお話を伺いました。このプロジェクトに取り組む彼の姿はまさにヒーロー、先に述べた可能性のメッセージをシカゴ中に広く伝えています。
本シリーズでは、弊社の長年のクリエイティブパートナーやコラボレーターたちと対話としていきます。今回は、Akilah TownsendとGlobal Brand GroupクリエイティブディレクターのEileen Tjanと、アートの分野で積んだキャリアについて詳しく伺っていきます。Townsendがキャリアをどのように実現したか、アートとビジネスの両方で活躍することが、若い世代のクリエイターや起業家が後に続くのにどのように役立つかについてお話いただきます。
まず、何かを創りたいという思いに駆られた最初の瞬間または思い出などについて お話しいただきたく思います。
覚えていますのは私がとても幼かった頃に、亡母が本当に上手にまんがの絵を描いて、それが家中にあったということです。封筒だったり、レシートの裏に描いたりもしていました。母は人事関連の仕事をしていましたが、私はいつも不思議に思っていました。「なんでママはアーティストではないんだろう?こんなにすごい絵が描けるのに。」
母のクリエイティブな面が私に遺伝したのだと思います。はっきりした時期はまったく思い出せないのですが、私はいつも何かを描き、何かに色を塗っていました。写真に興味を持ったのはかなり遅いですが、常にクリエイティブなこと、たとえばスタイル、ファッション、グラフィックデザインなどに夢中でした。
そして、アーティストとして働きアートで身を立てていけるという特権を得られたのは、実に素晴らしいことなのだと感じています。おそらく一族の中でこの種の職業に就くのは私が初めてですから。これに気付いたときは、感謝の念が沸き起こってきました。
写真に本格的に取り組んだのはいつのことですか?写真をやりたいと思ったのはいつだったのでしょうか?
アーティストになりたいとは、いつも思っていました。同時に私の母がおそらく思っていたように、現実的に可能なキャリアなのかは分からないでいました。堅実な職に就きなさいと言われて育ってきましたからね。だから、賃金がよく安定した職を探しました。実際のところ環境法学部に進学しましたし、環境コンサルタントになりました。アートは趣味として何か違うことをしようと努力しました。なぜなら芸大の学費は払えないと分かっていたからです。
働くアーティストというものが存在するとは思っていませんでした。湧くように創作するアーティストしか存在しないと思っていたのです。
プロが制作するアートとは、どういうものか知らないでいました。写真に興味を持ったのは、ルームメイトがこのキャノンRebel T6を持っていたからです。ルームメイトはどうやって使うか悪戦苦闘していました。それを見た私は「教えてあげるよ、自分で使いながら分かるはずだから」と横から手を出しました。自分が何者かも分かっていなかったくせに、自信だけはあったのです。
そうやってカメラをいじっているうちに、「ああ、…これ好きだな」と思ったんです。実は、ハイスクール時代に夏期講習でカメラを習ったことがありました。ただあの時期はカメラを買う余裕はなかったので、続けることはなかったのです。ルームメイトのカメラに触れたときに、あのときに自分が思い描いていた夢が急によみがえってきたのです。そこから趣味としてカメラを始めたのですが、後に歩合制の仕事を受けるようになりました。
では現在に話を戻しまして、The Future Is Built in Chicagoに参加しての個人的な体験や視点を教えていただきたいのですが。
参加できてとてもうれしく思っています。私のInstagramを見た人は、「わあ、あなたがこの写真を撮ったの?」とか「シカゴ中で目にします。とっても素晴らしい作品ですね」とか「女性を美しく撮るのがお上手ですね」とか言われます。掲示板のピンナップやバス停用の大型ポスターの中のこの黒人女性たちを目にすると、私が望んでいたことは、彼らを美しく写しとりスポットライトを当てて大勢に見てもらうことだったのだと気付かされますし、それを実現したのだとしみじみ思います。
とてもインパクトがあります。79th通りに住む小さな自分に戻ったような気分で、美しい黒人女性が美しいバス停で「あ、あれはビジネスオーナーよ」と言っているのを見る。すごく可能性が広がっています。そして、アートで自分の身を立てる機会があるとは実際のことろ思っていなかったので、本当にパワーが沸いてきます。表現することが最も重要なのです。自分の出身地であるコミュニティでこういったことが見られるのは、実に素晴らしいことで、うれしい限りです。
私は「黒人女性写真家(Black Women Photographers)」というグループに所属していまして、2019年頃にNaomi Campbellが初めて黒人女性により写真撮影されたときのことなどを発信しています。Gabrielle Unionについても同様です。つまり、我々はこの業界に長くいて、もちろん才能はあるわけですよ。ただ、それを発揮する機会を与えられてこなかっただけなのです。
他の黒人写真家、他の黒人女性写真家を世間に知らせることができたら、本当にすごいことが可能だと思います。
このプロジェクトは1つのアイディアを起点としながら、そのアイディアを膨らますのを私にも認めてくれるところが素晴らしいと思います。自由なクリエイティブさを大いに感じます。撮影現場に来てくれたSquareのクリエイティブチームは、私を信頼していると感じさせてくれました。私は「こうやりたい」と思った瞬間が何度かあり、それを実行し、彼らはそれを採用しました。少し余地を残しておいてくれる懐の深さがあり、私のクリエイティブなビジョンに信頼を寄せてくださいました。
同業者や友人や家族またはコミュニティからの反応はいかがでしたか?シカゴでどういった声が聞かれますか?
最も印象に残っているのは、70歳の私の父を掲示板の前に連れて行ったときのことです。とても感動的でした。父には「そうそう、この企業や、あの企業と仕事をしているよ」と伝えても、あんまり実感がないようで、分かってもらえないのです。さすがにThe New York Timesと仕事をしたときは、「おお、すごいじゃないか」と言ってくれましたけど(笑)。今回は実際に父を掲示板に連れて行って、どういったプロセスでとかどういった状況でとこの仕事を説明することができましたので、「オーケー、分かってきたよ。理解したよ」と言ってくれました。
伝えたいのは、そこに実在しているものをどう理解するかということです。最もうれしかったのは、シカゴの友人や同年代の人々からの反応です。このプロジェクトの出来栄えが素晴らしいのを、皆が誇らしく思い賞賛しています。言葉では言い表せない喜びであり、私の街から見つめられているような感じです。
Built in Chicagoで弊社に協力してくれた事業のうち、知っているものはありましたか?また、シカゴの黒人ビジネスオーナーやクリエーターが形作る未来像についてもお話を伺いたいです。
ティーンエージャーの頃からずっと、Sir & Madameが大好きです。14歳くらいからでしょうか、いつもあそこで買い物をしています。大学生のときにウェイトレスのバイトをしたのですが、担当のテーブルにオーナーたちがいたのを覚えています。あの頃に戻ったようで懐かしかったです。Semicolonに行ったことはないんですが、文字通り数ブロック先で働いていたことがあります。オシャレですよね。
黒人から、私の知っている黒人クリエーターや起業家から、多くの文化が生まれています。豊かな才能と、あふれるクリエイティブさ。彼らにスポットライトを当てるのは素晴らしいことです。現在のクリエイティブ業界で感じとれる動向から、今後数年間でどういったことが起こるか注目していますし実にワクワクしています。多くの企業がシカゴの重要性に気付き、スキップ可能な中西部の街という扱いを改めようとしていると感じます。
Squareでは、経済力のエンパワメントを企業理念としています。すべての人々が経済に参加できることを望んでおります。それはどのような社会でしょうか?
起業する人の数は、特に黒人コミュニティでは顕著に増え続けていると思います。起業するということは自由への道なのだと実感しています。そのことについては、最近多くを見聞きしています。
私の出身コミュニティやそこにある課題について考えてみますと、まずビジネスや起業を検討したときに最初に当たる壁を低くする必要があると思います。なぜなら多くの場合、公式の教育を受けビジネススクールなどに通えるという恵まれた環境は稀であるからです。そこで、どのように人々に力を与え、コミュニティと自律性を生み出すかですよね。この地区は高級住宅地化されており、昔からの住民が押し出される格好となっています。経済的に自立することが唯一の方法なのです。
私自身フリーランサーで時間を自分で管理していますが、そこから得られる自由(自分でスケジュールを決め自分の体調を考慮してそれにより仕事に充てる時間が決定されるということ)こそが、本当の意味での成功だと思います。自分の、全人生のオーナーシップを握れるのです。人種差別者や頑固者に耳を貸すのを止めれば、あなたは自由なのです。
そして、コニュニティ内で経済を回してものごとを良い方に変えることもできます。
お金を持っているのでしたら、そのお金をどこに落とすかを決めることができます。お金を持続可能性のために使い、自身のコミュニティに還元することができます。
ブランドがコミュニティに力を与えたり、支援者とより意義ある方法でつながったりすることは、可能であると思われますか?
信頼性こそがカギだと私は思います。Squareはシカゴの人々を雇用しています。私自身、スタイリスト、その他全員が本プロジェクトの対象である層を理解する人々で占められています。私たちの仲間から選ばれるのですから、信頼できます。ストーリーやノウハウをお伝えしていくのですが、実際に見聞きした内容ですから語り口もしっかりとしたものです。
業績が振るわない会社は、信頼性が欠けているのだと思います。そこにいるべき人が室内にいなかったら、明らかに信頼は損なわれます。黒人がいなかったことで、信頼に値しないという印象になったのです。我々と対話したいと思うならば、我々と協力しなければなりませんし、我々とコラボしなければなりません。理念を伝え信頼を得たいと思うならば、実際に信頼を体現しなければなりません。
Squareが今後もより多くのビジネスのサポートを続けるため、できることは何でしょうか?
しいてあげるならば、対象地区に入っていくことです。金融に関する知識や起業家精神について実際に人々を動かし、影響を与え、教育する現場に足を踏み入れることです。
以上です。これは大規模なプロジェクトであり間違いなく継続していくつもりです。弊社は耳を傾け教育やコラボの方法を模索して、この経済へのドアを開き続け、また美しくクリエイティブな作品を作りだしていかなければなりません。ありがとうございました、Akilah。
ありがとうございました。SquareのチームとSquare社には、このプロジェクトに迎えていただき本当に感謝しております。素晴らしい体験でした。インタビューもとても楽しかったです。